メインコンテンツへスキップ

京都・一乗寺 ぱんのちはれ羽原シェフが、店名に込めた想いと地域に愛される店づくり

今回は「ぱんのちはれ」オーナーシェフの羽原さんに、パン職人を目指したきっかけや、お店づくりへのこだわりについてお話を伺いました。

記事の公開日 2026年08月06日

記事のカテゴリ 宝ヶ池・一乗寺

パン職人としての原点

羽原さんがボクシングに打ち込んでいた高校生のとき、減量後に食べるパンのおいしさが忘れられず、「パンを食べると力が出る」という感覚が心に残っていたそうです。その経験が、パン職人という仕事を目指すきっかけになりました。

その後、働き始めたパン屋さんで現在も親交の深い「コネルヤ」のオーナーシェフ内山さんと出会います。
「最初の印象は『変わった人やな』でした(笑)」

サーフィン好きで日に焼けた姿は、当時のパン職人のイメージとはまったく違っていたと言います。
しかし、人を惹きつけ、新しいことを次々と形にしていく内山さんの姿に魅力を感じ、コネルヤの立ち上げにも携わることになりました。
その付き合いは約25年。羽原さんにとって、内山さんはパンづくりだけでなく、お店の考え方にも大きな影響を与えた存在です。

お客様に晴れやかな気持ちになってほしい

2015年に独立し、一乗寺で「ぱんのちはれ」をオープン。
店名を考える際、「○○屋」という名前にする案もあったそうです。それは、コネルヤへのオマージュでもありました。

しかし最終的に選んだのは、「ぱんのちはれ」。
「たくさん並んだパンを見てワクワクし、食べて晴れやかな気持ちになってほしい。」
そんな願いを、天気になぞらえて店名に込めました。
現在では地域のお客様に支えられ、日々多くの人が訪れるパン屋さんへと成長しています。

羽原さんがパンづくりで最も大切にしているのは、「近所のおばちゃんが気軽に買えるパン」であること。
見た目の派手さや流行を追いかけるのではなく、毎日の食卓に自然と並ぶようなパンを焼き続けたい。その考え方は、コネルヤから受け継いだものでもあります。

商品開発についても、自身では「0から1を生み出すのは得意ではない」と笑います。
その代わり、「これはおいしい」「これはお客様に喜ばれる」と感じたものを学び、自分なりに改良し、お店に合った商品へと育てていくことを得意としているそうです。
また、女性に人気のもちもち食感を取り入れたパンや、グリーンカレーを使ったカレーパンなど、新しい挑戦も続けています。

一方で、長年変わらず大切に作り続けているのが、北海道産小麦「キタノカオリ」を100%使用した食パンです。
羽原さん自身も「一番好きなパン」と語るこの食パンは、多くの常連さんから支持される、お店の代表的な商品の一つとなっています。

常連さんが7割 地域に愛されるパン屋の理由 

ぱんのちはれの店内で印象的なのが、中央に設けられた対面カウンター。
パンが焼き上がった一番おいしい状態で陳列したいという思いから、このレイアウトを採用されました。また、パンは八百屋さんのように豊富に並べ、「今日は何を食べよう」と選ぶ楽しさも大切にしています。

「大きいほうがおいしそうに見えるんです。」
そう笑いながら話す羽原さん。見た目のボリューム感も意識し、お客様がわくわくするお店づくりを心掛けています。

現在、お客様の約7割は常連さん。
食パンや塩パンなど、お気に入りの商品を目当てに来店される方が多く、「いつものください」と声を掛けられることも少なくありません。
「ありがとう」
その何気ない一言が、パン屋を続ける大きな励みになっています。

そんな羽原さんには、今でも忘れられない出来事があります。
ある日、小さなお子さんを連れたお客様がレジにおしゃぶりを忘れて帰られました。急いで届けたところ、とても喜んでいただけたそうです。
「まるで『魔女の宅急便』みたいやなと思いました。」
(お客様がおしゃぶりを忘れて、キキがほうきに乗って届けるシーンがあるのです!)

パンを売るだけではなく、人と人とのつながりが生まれる。
そんな地域密着のお店だからこそのエピソードに、羽原さんの人柄が表れていました。

パン作りはこれからも続く

2026年で開業から11年。
「長かったですね。」
そう振り返る一方で、これから先の10年についても、新しい構想を描いています。
近年は農業にも興味を持ち、友人の親戚がいる淡路島で収穫を手伝う機会も増えました。

素材からパンを考えたいという思いから、自分で収穫した食材や旬の野菜を使ったパンづくりにも挑戦しています。スーパーではなかなか出会えない味を届けたいという気持ちが、新たな商品づくりにつながっています。

さらに、昼間は来店できない人に向けた夜営業や、お酒と楽しめるパンの提供など、新しいスタイルも模索中とのこと。
一方で、年齢や体力も考えながら、無理なく長く続けられる働き方も大切にしたいと話してくださいました。

「お店を続けること」
それ自体が、お客様への一番の恩返しなのかもしれません。

奇をてらわないパンづくり、地域のお客様との何気ない会話、そして毎日変わらずパンを焼き続ける姿勢。
どれも派手さはありませんが、その積み重ねこそが多くの常連さんに愛される理由なのだと思います。

一乗寺を訪れた際は、ぜひ「ぱんのちはれ」でお気に入りのパンを見つけてみてください。

ライターのおすすめパン

カプレーゼ

モッツァレラチーズにジェノベーセとトマトが乗った、ボリューム満点のパンです。

とろ~り半熟たまごのカレーパン

お店で一番人気の商品。辛さひかえめで満足感があり、お子さまにもお勧めです。

生ドーナツ

タピオカ粉を使用した、もちもち食感が特徴。初めて来店される方にもおすすめしたい人気商品です。

ぱんのちはれ

〒606-8186 京都府京都市左京区一乗寺南大丸町48-6
営業時間 10:00~19:00
定休日 なし
https://www.instagram.com/pan_nochi